norm / nobuyoshi sakagami
MUYA / kenta muya
interview & photo / norm&MUYA
「今の作品、
全てのきっかけがnormスタート」
2024年11月23日から迎える
7回目の展示となるMUYA展「2024 AW collection」に際し
MUYAの撫養健太さんとお話しさせていただきました。
Sakagami)normでのMUYA展「2024AWコレクション」ということで、今回で7回目の展示になるんですけど、
毎回展示に向けて新しいものを作ってくれたりとか、normの別注として新しいものを作ってくれたりとか、
なんでここまで力を注いでくれるんですか?
Muya)なんでやっとるんですかですね。うん、結構むずかしいな。すぐ答えれませんね。
S)めちゃくちゃ目つぶってるやん。
M)なんでしょうね、normっていう場所もありますし、
そのnormっていう場所がなんやねんって、なんでnormやねん、って感じっていうことを説明した方がいいんですよね。
S)なかなか言いにくいところありますかね。
normの展示の時は、いつも特別なものというか、その展示に合わせて何か制作してくれてると思うんですけど。
今までの展示、1回目の展示から軽く振り返ってみましょうか。
M)そうやね。うん。
S)最初はnormがオープンして約1ヶ月後の2017年6月、1回目の展示はTシャツでしたね。
和歌山で吊り編みの生地つくってデザインして、和歌山で縫製して和歌山で販売するっていう。
全部和歌山で完結させるというものでした。
DMの写真懐かしいな。オープン前のまだエアコンも入ってない時に写真だけ撮りましたねー。
このとき初めてTシャツ作ったん?
M)そうそうそう。それまではお金もなかったんでシャツだけ、しかも数型だけでやってたはずなんですよ。
それで初めてTシャツ作った感じで。
これも今思えばたしか1型シロだけやったような気もするんですけど、
商品としても未完成やしまだまだって感じやったけど、なんかこう全力でやってたなていう思い出はあって、
ほぼ自分だけで展示するというのも初めてやったから、嬉しかったし必死やったなぁ笑
S)それと、なかむらたかしくんのアイスクリーム販売。
M)あれ第1回?
懐かしいですねー
アイスクリームが美味しかったな。
S)美味しかったね。すぐに売り切れましたねー。
S)第2回はですね、なんと羽織が出ました。
M)今やもううちの大黒柱。リバリーコート発表ですね。
S)ちょっとこう、ぷかぷか浮かせて展示しましたね。
その大黒柱の発表に合わせてくれたんや。
M)日本の服っていうことで。それ作った思い出ありますね。
ちょっとその前ぐらいに、
なんかのイベント出展する紙に
参加品目を書く欄があって、パン屋やったらパン、家具やったら木工家具とか、
その時に洋服て最初書いてんけど洋??洋か?みたいになってきて、
もちろん和服ではないから最終、衣類にしてんけど
それで和服の勉強をしだすようになって、和服の直線的ラインで服つくってみようとなってそれで、
いってみよう。みたいな感じで。
S)2回目はアロハシャツもありました。
アロハとリバリコート発表になったんや。
2本立てやん。
この時は上村さんにデザインしてもらってね、DMを。
M)あれ、早朝の白良浜に誰もいてないところに行って、 ナオちゃんが白の上下着て撮りましたね。
アロハシャツに使用した生地を旗のように持って、走って。
坂上さんとこでやらしてもらって、商品化していくっていうことが非常に多いと思うんですけど。
S)トライアルやと思ってる?
M)いやいや、ほぼ本番ていうか、めちゃ真剣ですよ。
S)3回目となるMUYA展は、フォトフレームの発表。
この時は撫養くんの写真付きで販売しましたね。
M)フォトフレームはナオコさんの代表作になってますから。
今もプロダクトとしてずっと続けさせてもらってます。
S)アクリルで写真を挟んで、真鍮の金具で止めるっていうシンプルな写真立てなんですけど、かっこいい。
M)真鍮部分の製作は黒江のハウスホールドインダストリーの武田さんに作っていただいてます。
これ最初作るの大変やったんすよ。
作りたいと思って、和歌山田辺の工場に行ったら作れないって、こんな仕様やったら無理や言われて、
それで別の工場紹介されて、それも無理や言われて、最後は岐阜まで行きました。
結局アクリル部分は岐阜の工場に作ってもらって、今でも続けて作ってもらってます。
M)4回目は?
S)4回目はね、なんとこれ、爆発的に伸びた「Brown Tones」
M)やりましたね。BrownTones。ベージュ、ブラウン、ダークブラウンみたいな感じで。
S)アースカラーっていうか、土とか地面みたいなイメージして作ったブラウンのグラデーションで。
羽織と、あとカットソーもありましたね。
M)なんかこう、認知っていう言い方もちょっと偉そうやけど、
みんなが 買い始めてくれたきっかけになった回ですね4回目は。
この時は和歌山というか白浜というか、なんていうかわからないんですけど、
この土地でできることみたいなこと思ってた時期でもあったんで、
そんな感じになったんかなぁ。
そういうのもあって、写真は白浜の千畳敷の地面、撮影してDMにしましたね。
S)5回目は2021年12月、冬にやってますね。
この時は、靴の発表です。
M)靴はね。入学式やなんや、ちょっとフォーマルなとことか、結婚式とか、そういうとこで履いてい
靴探してるって言うたから、
妻に自分で作ったらっていうのが、きっかけですね。
それでtomorkaさんに相談して作ってもらったんですよ。
S)この時は「黒」というテーマもあって、靴とBLACK OVER DYEも発表してますね。
この時もう移転してた?オープンして直後ぐらい?
M)オープンしてるね。展示の間に店移転して、あの時ギリギリやったもんな、ほんまに。
やっていけるんかって。こんなにすごい金額の投資して。
S)そう考えたらすごいな。スタッフの数とか、やってることの幅で言うと。
M)うん、今もカツカツやからね。
S)BLACK OVER DYEが生まれた経緯は?どうやって生まれたの?
M)これは、色のムラがあったりとか、ちょっと色が落ちてたりするものを黒で染め直して、
もう一回商品を世の中に循環させようといって始まりました。服を無駄にしたくないっていうのもあるし、
やっぱり野菜とかでもそうやけど、ほんのちょっと傷ついてるだけで除外したりとか、
服も結局は通販とか目に見えないところのそういうお客さんの手に届けるとこには難しいというか。
対面ならね、ここにちょっとだけ糸が絡まってるところあるんですけど、
でもこれは製品上問題ないんですっていう説明はできるけど、目に見えない人はやっぱそれが難しったりするんでね。
うん、そういうこと。僕かダライラマか、みたいなとこやね。
S)でかいな。でかいでかい。
M)地球、マザーテレサ、ヘレンケラーか僕かみたいな。
S.M)笑笑笑笑
S)二浴染めって書いてるけど、これは?
M)二浴染めて少し手間なんですよ。
縫い糸って、大体切れづらいポリエステルとかで縫うんですよ。
綿で縫ったらそんなに伸縮性ないからちぎれたりするから。
で、染めたときに綿だけしか黒くならへんのですよ。
ほんで、糸だけこう、目立つみたいな、そういうの見たことあるでしょう。
けど、二浴染めっていうのは文字通り2回染めるんです。
綿を黒く染める染料で、1回染めて、染まりきらんかったポリエステルのが染まる黒でまた2回染めるんですよ。
だから2倍お金かかるていうか。
けど、商品としてはやっぱりそういう2回染めて均一の方が絶対かっこいいんですよ。
ご愛用していただいてますよね。黒のTシャツ。
S)うん。背中のピンクの糸は僕はすごい好きなんですけど。
M)あれはちょっと狙いにいきすぎたかなと思って。今もちょっとやりすぎたかかなて。
S)いやいや、あれめちゃくちゃいい。
僕は黒のTシャツをいっぱい持ってて、畳んだ時に何が何だかわからなくなる。
でもあれは畳んで収納しててもピンクの糸ですぐにわかるんです。
なんかね、生活に全然関係なさそうな糸がそういうとこで逆に効いてくるんやなって思った。
そんなデザインって面白いなって、探す時に見つけやすいっていうデザイン。
M)なるほどね。見た目の服を着た時のシルエットどうのこうのとか、素材じゃなくて、
生活における探す時にすぐわかるていう。確かに。逆に言うたら、背中で畳んでるってことやね。
S)いやだからそうなるんよ。背中で畳もうっていう風になるんよ。
M)えっ!ライフスタイルまで変えちゃったみたいな笑
M)第6回は?
S)2023年の第6回目は、別注はないけど、パンツの発表をここに合わせてくれてます。
M)僕でもその1番気合入ってたと思う。
あの時、1番自分の服のことを考えて 文章書いたんですよ。
書きながらもう1回、自分はどういう気持ちで服をつくてるのかっていうの。
S)normでほぼ最多の6回目っていうこともあって、ようやってるなぁって。
で、なんか文章書いてほしくてお願しましたね。
今までを振り返るような感じで、 撫養くんの言葉が欲しいって言ったら、熱い長文が。
そんなすごいの返ってくると思わんかったんで、びっくりしたんです。
M)熱ないでしょ。
でもこれ、今ホームページにも載ってます。
もうこれをね、こすってこすって使ってます笑
S)ホームページには加筆、修正を加えたものですって書いて載ってますけど。
M)それもやっぱり1回だけ。10周年でセールしてもうたから、そこだけ消したんすよ。
あーあ、嘘つくなよと。お前1回セールしとるやないかって。
セールは10周年のタイミングで1回したから。
自分の中ではなかなかしたくないけど、その毎シーズンとか全てのものをするんじゃなくて、
誰かの手に渡る方がいいかなって思う時もあるんで。
やり方ですよね。実際、普通のアパレルの業界の流れとして、毎年同じ流れで当たり前のようにする流れがある。
そうじゃなくて、ちゃんとこう理由っていうか、やるべき理由が大切ていうか。
で、この時は、なんかこう、別注をつくるとかじゃなくて、今のMUYAの全てを出したらいいんじゃないか、
みたいなこと坂上さんが言ってくれてたような気がするんですけど。
正攻法でいいみたいな。
S)パンツの発表にも重なりましたね。MUYA初もの、初パンツ。
M)その時坂上さんが言ってくれたのは、ついにこう、全身でトータルでMUYAを買ってくれる人も増えたって。
S)店側の感想としては、今までとは買い方が変わったなと思って。全身上から下まで。
売れたことの嬉しさもあるけど、なんと言うか驚きみたいなんがあって、全身でいくんやと。
M)自分の中で、組み合わせるっていうか、いつもきっと組み合わせしてくれてるんやろうけど、
パンツもほしいなって思ってくれたことは嬉しいですね。
S)振り返ってみたら色々面白いなぁ。
シャツ1枚から、Tシャツとシャツから始まった展示が広がりましたね。
M)初めての展示は何年ですか
S)2017年
M)MUYAを始めた2014年の頃は、お金もないから一型しかなかった。
今その時に戻ったら、ようこんなんでやってきたなって感じやけど。
そうやって考えたら、 normと一緒に歩んできたと言っても過言ではないですね笑
今の作品、全てのきっかけがもうほぼnormスタートってことやから。
S)ありがたいことです。 毎回何かしらの別注、もしくは新作の発表をね。
M)そう。その新作の発表が今うちの定番っていうか、リーダー格となってるから。
S)で、今年2024年、7回目の展示になりますね。
M)今回は2024年 秋冬の全ての商品と、以前から、坂上さんから、黒っぽい服で何か形にしてほしいって言われてたので、
セットアップで新しくジャケットとパンツを作らせていただいてます。
商品としては、今までは元々生地に色がついてるものが多かったんですけど、
今回は商品にしてから黒く染めるっていう手法、製品染めでつくりました。
製品にしてから染めてるんで、くたっとした感じっていうか、
服に少しあたりの出た独特の雰囲気のセットアップになってます。
S)製品染めって言うんですか?後染めってこと?
M)製品染めって それの良さがあるし、デメリットもある。
製品染めにしたら、やっぱり後で染めてるから 徐々に色落ちはしていくんですよ。
けど今回、普通の白い生地を染めてるんじゃなくて、元々色がついてるやつに色乗せてるっていう感じやから、
色褪せてっても雰囲気出るような感じにはしてるんですよ。
S)元の色は何色?
M)元はね、ネイビーぽい生地で。
白い生地を染めてたら、洗いすぎたらこうしらけてくるっていうか。
でも今回はそのボディに濃いめのネイビーを使ってるから、色褪せてても雰囲気がいい感じに出てくると思う。
形はセットアップで。
ノーカラーのジャケットに襟ついたみたいな。
いわゆるテーラードジャケットやけど、テーラードカーディガンていう名称にしてて、
この秋冬に向けて作った商品じゃなくて、年間通して着れるような商品にしてるんで、
生地としては通年仕様のそんなに分厚くない生地で作ってます。
パンツも同じく全く新しい形で作ってます。
S)ちょっと太めパンツって聞きましたけど。
M)そうなんですよ。今までのやつはちょっと通常のストレートのラインやったけど、
もうちょっとこうnormをイメージして。
うーん、言い方がむずいけど、風。
風に流れるような、ちょっとふわふわっとこう。
S)normは風やと。
M)うん、ちょっと少しこう、歩いた時に動きが出るような太さにはしてますね。
坂上さんをイメージしたっていうか、normをイメージしたっていうか。
坂上さんとnormはニアリーイコールなので、そういうのをイメージして作らせていただきました。
S)別注カラーを作ってもらえるだけでも嬉しいことですけど、
今回はデザインから新しいものをnormをイメージして作ってくれてほんとに感謝です。
M)僕、前からずっとセットアップやっていきたかったんです。
やっぱりセットアップってね、襟付きとパンツみたいなイメージ多いから、
これはもう、また5年後の振り返りの時に、自分の中で普及の名作にしたいですね笑
S)いつもMUYAの展示にはたくさんの人が来てくれるから、
今回も来てくれた人にMUYAの世界観とか新鮮さとか、
楽しんでもらえたら嬉しいですね。
MUYA展
「2024 AW collection」
11月23日(土)~12月1日(日)
13:00-18:00 会期中無休
23日(土)・29日(金)・30日(土)|21:00まで
在廊日|23日(土)・24日(日)・12月1日(日)